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BL短編

第8章 最後のお願い

翌日。

周りからはおめでとう、お幸せに、そんな言葉が響く。


白いウエディングドレスに身を包んだ花嫁の手を取る花婿は幸せそうな笑顔を浮かべていた。
俺には見せたことのない、柔らかくて素敵な笑顔。

「和真さんと花嫁さん素敵ね。」
「そうだね。」

みんなに囲まれて、花婿の和真兄は幸せそうだ。
そんな幸せそうな二人を見ていたら、諦める気持ちが整っていく。


「お幸せに。」
聞こえない距離だけど、心からそう呟けば、気持ちが軽くなった気がした。



突如ざわつきだした会場に何かと思えばブーケトスがあるらしい。
女の子が集まってくる。

「きゃあ!こっちくるわ!」
花嫁が投げたブーケは真っ直ぐ母さんの胸へ向かってきて、一度母さんの手の中でバウンドした。

「えっわっ!?」
すっぽりと母さんの隣に立っていた俺の腕の中へブーケが収まる。

祝福とブーイングと冷やかしを一点に受け困ってしまうけれど、次の恋もすぐ出会えるような未来が待っている気がした。


「まずは相手探しからかな。」

和真兄のこと、何年経っても後悔しないと自信を持って言える恋でした、今までありがとう。
今、笑って相手探しなんて言えるのは、あなたが最後まで優しい良い人だったからだよ。



End.
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