BL短編
第3章 手に入れたい
指導室に入った途端、椅子に座り、机に突っ伏し、早速寝る気満々の花村を見て、僕は少しおかしくなった。
「お前。」
「ん?」
「名前、なんつうの?」
これが上目遣いってやつなのかな、身長高くて近づくなオーラを出している人間とは思えない顔だ。
「新山弘樹。明日も明後日も花村をここに連れて来ないとだから、覚えられるなら覚えて。」
花村の記憶力がいかほどかわからないし、もしかしたら明日には忘れているかも。そう考えて僕はそんな風に言った。
「馬鹿にすんな、名前くらい覚えられる。」
ちょっとムスッとした声で、花村はそう言うと、
ニイヤマ、と復唱するように呟き、そのまま静かになった。
僕の本をめくる音と、ペンで文字を記す音、壁の時計の音だけが聞こえる生徒指導室に、
花村の寝息が加わるのにそう時間はかからなかった。
夕方6時を少し回った頃、区切りの良いところまで勉強を終えた僕は、帰り支度を始めた。
立ち上がろうとした時に引いた椅子の音で、花村が反応する。
「起こしちゃったかな?」
そう小声で話しかけてみたけれど答えはなかった。起こしたと思ったのは僕の間違いらしい。
「花村、花村。そろそろ帰るよ。」
揺さぶってみても反応がない。
どうしたものか、と考えて。
指導室の外からすぐの自動販売機に足を伸ばした。
「お前。」
「ん?」
「名前、なんつうの?」
これが上目遣いってやつなのかな、身長高くて近づくなオーラを出している人間とは思えない顔だ。
「新山弘樹。明日も明後日も花村をここに連れて来ないとだから、覚えられるなら覚えて。」
花村の記憶力がいかほどかわからないし、もしかしたら明日には忘れているかも。そう考えて僕はそんな風に言った。
「馬鹿にすんな、名前くらい覚えられる。」
ちょっとムスッとした声で、花村はそう言うと、
ニイヤマ、と復唱するように呟き、そのまま静かになった。
僕の本をめくる音と、ペンで文字を記す音、壁の時計の音だけが聞こえる生徒指導室に、
花村の寝息が加わるのにそう時間はかからなかった。
夕方6時を少し回った頃、区切りの良いところまで勉強を終えた僕は、帰り支度を始めた。
立ち上がろうとした時に引いた椅子の音で、花村が反応する。
「起こしちゃったかな?」
そう小声で話しかけてみたけれど答えはなかった。起こしたと思ったのは僕の間違いらしい。
「花村、花村。そろそろ帰るよ。」
揺さぶってみても反応がない。
どうしたものか、と考えて。
指導室の外からすぐの自動販売機に足を伸ばした。