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BL短編

第3章 手に入れたい

「どこに出没するかもわからない相手にですか?」
「ああ、それなら生徒指導の先生に出没場所を聞いてきたから、そこを探して貰えれば見つかるはずだ。」

なんで僕が。とは内心思ったけれど、あの整った顔をもう一度間近でみたい、と。
そう思ってしまった僕は、やるだけやってみます。と答えていた。

その当日から、僕は花村に勉強を教えるため、花村を探すのが日課になるようだ。


裏庭、人通りが少ない階段、使われていない教室、食堂前の廊下、
いくつか花村が根城?いや寝城?にしている場所を言われたが、聞いてみれば確かに、何度か僕もそこで花村を見かけたことがあった。

「花村。」
「んあ?誰だてめえ。」

「これから寝るんだろ?」
「あ?う?ああ、そうだけど???」
初めて声を掛けられた人間に、そんなことを尋ねられて、花村はよくわからない顔をしている。

「今日はどこで?」
「あー...?屋上かな?」
決めてなかったのだろう、あやふやにしか言葉は出てこなかった。

「花村さえ良ければ、エアコンで空調が整った場所を提供するけど。どう?」

ぽかん、と。
口を広げた花村が、なんだかおかしかった。


案内した場所は生徒指導室。
花村は怪訝な顔をする。
「お前俺をハメる気だったのか?」
「先生なら来ないよ。安心して寝たらいい。僕は横で勉強する。」

カチャと扉を開け、花村に入室を促した。

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