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BL短編

第3章 手に入れたい

はあはあと肩で息をする薫に、隠れてボタンを押してから、話しかける。
「気持ちよかったよ、...大丈夫か?」

「んー...大丈夫じゃねえ?」
「それは大丈夫なの?駄目なの?」
わかりにくい発言をするな。


「だってもう1回したいとか、んなこと考えてんだよ、俺。駄目だろ。」
快感に素直になるよう、この2ヶ月あまり開発したようなものだから、そう薫が感じるのは仕方のないことだ。

僕はまたボタンに触れ、ピッと音を立てる。
そのまま薫を抱きしめた。

「なあ、さっきからピッピ聞こえるけど、あれ何の音だ?」
薫の腕がぎこちなく僕の背中に回される。

「気になる?エアコンの音だよ。」

ふーん?くらいしか言わなかったが、本当のことを言ったら多分、顔を真っ赤にしながら本気で殴る蹴るされるんだろう。

だから本当のことなんて、言わない。


ボイスレコーダーで、録音して、薫の喘ぎ声をBGMに勉強したり、通学したりしているなんて。


君と初めて会ったあの時から、
君が寝言のように僅かな声を漏らした時から、
僕はもう、その声から発せられる多彩な言葉を収集してみたくなっていたんだ。


「好き。」そう言った君の声を聞くだけで、僕はまた中心に熱がこもるのを感じた。



End.

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