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BL短編

第4章 レンズの向こう

「やっぱさあ、写真は写真屋に現像させるに限ると思うんだよねー。いやもちろん、自分で暗室に篭ってやるのもまたいい味出るし好きなんだけどさ?自家用プリンターじゃ、限界あるよねー。」

三枚の写真を見比べて、そんな風に言うのは俺の恋人。

「奏もそう思うっしょ?」
いやわかるわけないだろ。
俺の恋人は写真馬鹿だ。
俺に近づいてきたのも写真撮りたいからだったしな。

「かーなーでっ!」
カシャッとシャッターを切る音が最初は嫌いだったのに、今は気にならなくなっていた。

慣れたのか、諦めたのか、俺にもわからない。

「んー!俺の彼氏様、やっぱりいいな!最高!で、何してんのー?」
見れば分かるだろうに。

「夕飯の支度。」
だよねー!って、それなら聞くなよ。

ジーッと見つめられるのにも慣れた。
こいつは俺の動作を待っているだけだ。


下を向いていることで、徐々に、下がる眼鏡を、押し上げ、元の位置に戻す。
そのシーンを待ってましたとばかりに、樹がまたシャッターを切った。

「いただきーっ!」

ああもう、うるさいぞ。
俺は眼鏡を外し、柄をたたみ、樹の前に置いた。

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