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BL短編

第5章 罠に掛かるは甲か乙か

今度の金曜日、久しぶりにそっちに帰るんだけど会えないか?


そんな連絡が昔付き合っていた恋人から届いた。

高校卒業までは付き合っていたと思う。
互いが違う大学に進学してから連絡が少しずつ減り、自然と連絡を取らなくなり。
いわゆる自然消滅。

付き合ってる間も、キスまでしかしなかった。
今思えば子供の恋愛。
そう自分に言い聞かせながら大学を終え、就職をして、毎日忙しく取引先に顔を出している。


なんで今更会いたいなんて言うんだ。
そう思う自分と、

もう恋愛対象に見られていなくても、会ってみたい。
全く逆の期待をしてしまう自分もいて。


会ってもいい。
そんな素っ気ないながらも、なんとかメールで返信できたのは、帰ってくる当日の金曜日。午後の休憩時間のことだった。

数日放置されたメールに対し、直ぐに返事がくる。
「そっちに着くのは7時すぎだから、とりあえず居酒屋で一杯やろう。」

そんなメールにさえ、数十分返信をためらってしまうのは、おかしいだろうか。

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