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BL短編

第5章 罠に掛かるは甲か乙か

時間の流れとは早いもので、気持ちの準備もできないまま、夕方になり、夜になり、あっという間に7時を迎えた。

駅から近い××という居酒屋で待ってる。

とだけ書いたメールを送り、俺は外で煙草に火をつける。
少しは落ち着けるかと思ったが、実際はこの緊張感が酷くなるだけだった。

煙草を吸っては吸殻入れに捨て、腕時計で時間を確認しては、落ち着けと言い聞かせること、23分。

「...康介?」
聞き覚えのある低い声に名前を呼ばれ、心臓が止まりそうになる。

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