BL短編
第6章 オオカミさんの甘い罠
「あっあんっきもち、まひろ、あっ、きもちいよお!」
もう声が廊下に聞こえてしまうとかどうでも良かった。真尋に伝えたくて。真尋をもっと気持ち良くしたくて。
夢中で腰を動かす。
「くっそ、イクッ!...っあぁ!」
沢山の精液が、僕の胸板にかかる。
僕はその温かい液を指でなぞるように触れ、口に含む。
「変な味だね。でも真尋のだと思うと嫌いじゃないかも。」
もたれかかってくる真尋を、受け止め、背中に腕を回す。
「5点なんかじゃ足りないくらい、ミキのナカ、気持ち良かった。」
ドキドキと動く胸が、どちらの鼓動か、もうわからない。でもこの感覚は、心地よくて僕は幸せに浸っていた。
着替え、片付けをこなし、学校を出るため下駄箱で待ち合わせをする。
「お待たせ、行こっか。」
差し出された真尋の手を、今日は自信をもって握り返せた。
「うわ、恥ずかしいなこれ。」
男同士で手を握り歩く。なかなか見ない光景を、真尋がしてくれる。
「やめる?」
「いや、やめない。」
そう宣言してくれた真尋の柔らかな笑顔に、胸がトクンと高鳴った。
好きになって良かった。って昨日の僕に言ってあげたい。
end.