
来世にて
第3章 前世 女の戦支度
次の日 楓は体の具合がよくないと、自室に引きこもっていた。
脇息にもたれ、虚ろに庭を眺めている。
庭の片隅には、暑い日差しを受けながらも、青く凛と咲く桔梗の花があった。
桔梗は土岐一族の印。
桔梗の花を見つめながら、光秀を思い出す。
自分のあられもない姿を見た光秀はどう思っているだろうか。今までのように接してくれるだろうか。切なく思いまた涙が頬を伝う。
遠くから砂利を踏みしめ近づく足音が聞こえた。楓の部屋の前で止まった足に、視線を上げる。
光秀だった。
楓は身を固くして脇息にしがみつくように顔を伏せた。
「御免」
と小さく言って、光秀は楓のそばに歩みよりふわっと優しく抱き締めた。
脇息にもたれ、虚ろに庭を眺めている。
庭の片隅には、暑い日差しを受けながらも、青く凛と咲く桔梗の花があった。
桔梗は土岐一族の印。
桔梗の花を見つめながら、光秀を思い出す。
自分のあられもない姿を見た光秀はどう思っているだろうか。今までのように接してくれるだろうか。切なく思いまた涙が頬を伝う。
遠くから砂利を踏みしめ近づく足音が聞こえた。楓の部屋の前で止まった足に、視線を上げる。
光秀だった。
楓は身を固くして脇息にしがみつくように顔を伏せた。
「御免」
と小さく言って、光秀は楓のそばに歩みよりふわっと優しく抱き締めた。
