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俺の幼馴染

第3章 SM掲示板

「…うわ。」

胸が焼けるように熱い。息苦しい。

この気持ちは何?

先程から…頭を撫でられてから、ばくばくとうるさい心臓が全く鳴り止まない。

鼻歌を歌いながらカレーを煮込むあの端整な横顔を見るだけで、苦しくなった。

この気持ちが数分続くだけで疲労感が半端ない。

気を紛らわそうとテレビに目を向けると、そこには年末シーズンに流す特番が放映されていて、笑いが溢れる画面を見ていると少し気持ちが楽になった。

「ふ…ぅ。」

胸に手を当てて考えろ、とよく言われるが、今はその気持ちが何なのか分かりたくすらない。

ただ、今は薫が口ずさむ鼻歌に耳を馳せているだけで心地良いから。

「彼方?寝たのか?」

ぴたっと鼻歌が止んだかと思うと、薫が鍋に蓋をして此方に近付いてきた。

…この際、寝たふりをしてしまおうと静かに目を閉じた。

今薫の顔を見たら頭が沸騰しそうだ。

「…寝たのか。」

頭上から、優しく低い声が聴こえた。

その後、少しして暖かいタオルケットがふわっと身体に掛けられる。

こんなわかりやすい優しさがとても歯痒い。

「…可愛い寝顔。」

含み笑いと共に、そんな独り言が聴こえる。

その瞬間、とても切なくなって、その言葉の意味が気になった。

寝たふりなんてした自分に、少し嫌悪を抱きながら。

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