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近くて甘い

第54章 恩返し

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「そう落ち込むな、隼人。まだお前は9歳だろ?」



「さっきは“もう”9歳って言ってた!」



要の慰めも効かないと言いたげに、隼人は完全に拗ねた様子で頬を膨らます。




「そりゃあまぁ…そう言ったかも知れないけど…」




どうしたものか…




小さい子は好きだし、歳のはなれた妹が二人もいた要は、子どもの扱いには慣れているのだが、今回ばかりは、対処に困ったようにして、こめかみを掻いていた。




そんな二人の元に、浩平と亮が、近付いてきて、しゃがみこんだ。




「いつまで拗ねてんだよ…。折角の誕生日なのに…」



「うるさい〜〜!」



「いつまでもそんな風にしてると姉ちゃんが悲しんじゃうぞ?」




亮の言葉にハッとした隼人は、思わず心配そうな真希のことを探してスタスタと近付いていった。




「お姉ちゃん…」



「残念だったね…。でも、折角9歳になったんだし、もうお兄ちゃんなんだから、いつまでもみんなに心配かけてちゃダメでしょ?」



唇を尖らせた隼人は、真希の服の裾をギュッと掴んで俯く。




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