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近くて甘い

第55章 淡い恋の終わり

足下を照らす灯りが、ぼんやりとしている…



愛花と浩平は、有川邸のイングリッシュガーデンを手を繋ぎながら、静かに歩いていた。




「なんか隼人も元気出たみたいだし、良かったな」


「そうだね…」




底冷えの寒さの中、二人の周りの空気だけが温かい。







隼人の誕生日パーティーがお開きになってから、なんとなく出向いた夜の散歩。


なんて事のない会話に、お互い胸を弾ませながら、歩みを進めていく。





「愛花の言葉のお蔭で隼人も元気出たのかもな…」



「え…?」



「俺もなんか、しみじみしちゃったよ」



「そんなっ…私大したことはっ…」





暗闇の中でも、顔を紅くさせているのが分かる。



そんな照れた顔が見たくて、わざと照れさせていることは、否めない。





「『好きだってことに気付けない人もいる』って、なんかの受け売り…?」




「え…?」




キョンとした愛花の手を引いて、浩平は見付けた白いベンチにそっと腰を降ろした。

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