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近くて甘い

第56章 片想いの終わり



話途中で、グッと唇を噛んだ加奈子を春人は切なげに見つめたままだった。




通わない…




まだ彼女の胸の中には─────




そっと手を掴まれた感覚に、加奈子は目を見開いた。





「はるっ…私っ…」





こうなることは分かっていたのに、




抗った自分がいけなかった…






「私っ…私……っ」





慌てる加奈子を見ながら、春人は逆に冷静だった。




「いいから──…」




幼馴染みだからこそ…



好きだからこそ…。





そのとき、春人は加奈子の手を一瞬強く握って、そして優しく離していた────










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