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近くて甘い

第56章 片想いの終わり

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冷たい風が容赦なく吹き付け、ビニール一杯に入ったお酒が、ぶつかりあって、音を奏でる。




「なにやってんのかなぁ…」




本当に私はバカだ…



数時間前、もう来る事はないだろうと、そんなことを思いながら通った道を、加奈子は逆方向に向かって歩いていた。




───────私、やっぱりハルとは結婚できない…




気付いたらそんなことを空港で口走っていた。





幸せになるはずだったのに、この私が、自分でぶち壊した。




───────そうみたいだな…




ハルのあの苦しそうなでも、優しい笑顔…





「こんなはずじゃなかったのに…」




知っていたけど、

本当に本当に本当に


私はバカだ…。





藍のところに、行こうかとも思ったけれど、加奈子は、そうしなかった。




一人でいたい…




今夜は、そんな気分だった。





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