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近くて甘い

第58章 社長夫人のお受験

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ついに試験前日。


学校に行ったら、一足先に試験を終わらせた梨子と亮くんが、お守りをくれた。



「ご利益のある神社で買ったから、合格すること間違いなし!だよ!」



「そうそう、てか、この俺ですら、受験乗り切ったんだから、まっきーなんて余裕だって!」




梨子と亮くんから底なしの明るい笑顔を向けられて、私もつられて微笑んだ。




「……ありがとう…」



本当に素敵な友だちをもったなと、胸を熱くしていたら、トントンと肩を叩かれて、私はとっさに後ろを振り返った。




「……藤木さん…ちょっといいかしら…」




「…………神崎先生…」



細くて、肌の白い彼女の肩には、柔らかそうな髪が流れている。



要さんと不倫関係にあったと聞いてから、どんな顔をして話したらいいか分からなかったし、話す気もなかったけれど…



どうして急に私に話し掛けてきたんだろう…


不思議で仕方がなかった私は、警戒心丸出しで、先生のことを見つめた。



そんな私の緊張感とは裏腹、神崎先生は、アハハと爽やかに笑って身体をすくめた。




「私、もう神崎じゃないのよ…」



「え…?」



「相原…。相原になったら、これからはそっちの名前で呼んで…?」



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