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近くて甘い

第59章 運命の悪戯

遠い…



なぜこんなに廊下が長く感じるのだろう…



グッと歯を食いしばった光瑠は、部屋から出てきた梨子と亮の姿に目を見開くと、挨拶もなにもする事無く二人に詰め寄った。




「わっ…光瑠さんっ…」



「真希はっ…真希はっ…」



「あ、えっと…中です」



あまりの勢いに、亮が言葉を詰まらせると、光瑠は、そのまま二人を押し切って部屋の中に入って行った。




「あ…あの…真希は…」




梨子の説明も虚しく、パタンと扉が閉まったとき、光瑠を追い掛けてきた要と酒田がはぁはぁっと息を切らせて、梨子と亮の前に立った。




「っ…真希さんが倒れたって…っ」




「はい…私たち、真希の見送りをしようと思って会場前で待ってたんです、そしたら…」



「急に、ヒューバタン、と倒れて」



「……それでっ…真希さんの容態はっ…医者はっ…医者はなんてっ…」




「それが…」




梨子が酒田の問いに応えると、その答えに要と酒田は大きく目を見開いて、そのまま固まったままだった。







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