近くて甘い
第59章 運命の悪戯
上がった息を整えながら、光瑠は恐る恐る、ベッドの方に足を運んでいた。
ツンと鼻を刺激する匂いが、光瑠の悲しい過去を呼び起こさせる。
ゆっくりと、ベッドの前にいくと、青白い顔のまま身体を仰向けに横たえぼんやりと天井をみつめる真希がいた。
「真希…」
下唇を噛んで、ベッドの脇に行くと、光瑠は愛おしそうに真希の頰に触れた。
「……光瑠さん…」
「っ……無理に起き上がるなっ…」
身体を起こそうとした真希のことを、光瑠慌てて抑えようとしたが、真希はそれに抗うようにして、身体を起こした。
「………具合は…。
具合はどうだ…」
聞くのが怖い…。
身体の震えが止まらない…。
「光瑠さん…」
ジッと真希に見つめられて、光瑠は、息が詰まった。
失いたくない…。
やっと見付けた、生きる “ 希望 ” なのに…