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二人の目線の先には涙を流しながら歌を歌う真希がいる。



「光瑠くん…」



「はい…」



名前を呼ばれて、光瑠は何となく姿勢を正した。


隣を見ると真希の父は真希のことを見たまま、瞳を揺らしていた。




「……頼むよ…」




さらりと言ったように見えて実は重いその言葉を光瑠は真剣な面持ちで受け取る。




「もちろんです…」




揺るがないその気持ち…──




その自信を示すかのように芯のしっかりとした返事に真希の父は微笑む。



「にしても光瑠…」




顔を光瑠の方に向けた真希の父は表情を一点させる。





……？



「………なんでしょう…」




眉を寄せる光瑠は、同時に軽く首を傾げる。





「……入籍前に妊娠だなんて、順番が違うんじゃないか…？」




「っ………それは…っ」




突然の厳しい言葉に光瑠はたじろぐ。





「君を信頼していたから同居を、許可したつもりだったんだけど…」




「っ………」




「本当に残念だよ…」




はぁっとため息をついた父を見て、額を掻いた光瑠はすかさず頭を下げる。




「……も、申し訳ありません…」