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近くて甘い

第8章 ふぉーりんらぶっ!

「あのっ、あなたは一体っ!この会社の方ですか…?」



今度こそ彼の正体を知りたい──


恋する乙女は目の前の王子を真っ直ぐに見つめた。


要は、そんな加奈子の問いにピクリと微かに眉を動かした。



副社長だと知らないのか…?


小さく驚いた要の胸の中で、コロン…と何かが音をたてる。


確かにこの前会った時も名乗ってなかった──



名乗らずとも知られていることが多い要は、中々ない経験に、フッと笑った。



変わっている彼女を…
少しいじめたくなった。



「さぁ…どうだろう…?
この会社の社員かも知れないし、よく出入りしている他企業の者かもしれない…」



煮え切らない要の返答に、えっ…?と加奈子は声を発した。



そんな加奈子を見て要はスクッと椅子から立ち上がる。


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