近くて甘い
第17章 社長夫人は高校生っ!
「ねぇ〜ほら、ここ座って!」
「きゃっ」
無理矢理膝の上に乗せられそうになって、はっとした。
今光瑠さんに怒られることを考えている場合じゃない…
この状況をどうにかすることが先だ。
そう思った私は愛花ちゃんか亮くんに助けを呼ぼうと辺りを見回したが、運悪くこの場所が奥まったところで厨房から見えない。
本当にどうしよう…っ
「ほらほら〜変なことしないからさ〜一緒に呑むだけだっ!」
再び腕を引っ張られたとき、
かすかにチリンと来客を知らせるベルの音がした。
「いらっしゃいませ〜」
亮くんの声が少しだけ近付く。
「たっ、助けてっ…!」
どうか来てくれますようにっ!
私は力いっぱい目を瞑って亮くんが来てくれることを切に願った。