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近くて甘い

第17章 社長夫人は高校生っ!

梨子の穏やかな言葉に胸がじんわりと暖かくなっていった。



「学校やめてたときに出会ったの?」


「…うん」


「あの黒髪の方のイケメンも真希の事好きっぽかったけど…?」




確実におもしろがっている声で梨子が言ってくるので、私は自分の顔が真っ赤になるのを感じた。



「私だったら、あっちの黒髪の方にする。なんか大人な雰囲気漂ってて超かっこいいし…」


「梨子には亮くんがいるでしょっ!」


「まぁ、そうだけどさ」



そう言って梨子はまた笑った。



しばらく沈黙が続いて気まずくなる。



何か言わなきゃと思っていたら、梨子の方から私に話しかけてきた。



「大変だったね」


「っ…………梨子っ…」


「いいよ、ゆっくり話してくれれば…」



ハラリと温かい涙が頬を伝った。



「本当にっ…黙っててっ…ごめんっ…」


「いいよ…だって親友じゃん?」



梨子はそう言って、私の肩を抱き寄せた。



それから、泣き止んだ私は少しずつ、退学していた時に起きたことを梨子に伝えた。



愛花ちゃんのことは伝えなかったけど、梨子に話せて、気が楽になった。




光瑠さんに謝らなきゃっ…


そして…助けてくれたこともお礼を言わなきゃ…



改めて、そんなことを思った。



そして、私の話にえ〜〜!!だの、キャーー!だの、オーバーにリアクションする梨子の隣で私は笑っていた。


「その話、小説になるよ!」


「なにそれ…」


「そうだなぁ…題名は…『近くて遠い』!」


「ふふっ…おもしろいっ…」




本当に梨子と友だちで良かった…


クスクス笑いながら、私と梨子は顔を見合わせた。

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