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近くて甘い

第21章 チョコレートは魅惑の味…

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足下をふらつかせながら、要は自分の部屋へと歩みを進めていた。


光瑠の前で押し殺した荒い息と、けたたましい心拍音…



「関根さん!あの、午後に必要なあの書類の───」


「あとにしてくれっ…」


酒田を押しのけた要は、片手で顔を覆って、よろめいた。



「関根さんっ?大丈夫ですかっ…?」


大丈夫?


ダメだ…全く大丈夫な状態ではないっ……


脳裏に焼き付いた、真希の上気した頬…

まだ抱き締めた感触だって、腹立たしいほど鮮明に残っている──



「しばらく一人にしてくれ…」



かろうじて、自分の部屋に辿り着いた要は、心配する酒田の顔も見ずに、すばやく扉を閉めて、自身のデスクの椅子に座った。



「はぁっ…」


身体が熱くて…
欲にまみれて統制がとれない…

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