近くて甘い
第22章 疑惑の二人
謝る私に加奈子はビックリしたようにして、足を止めた。
「そんなっ…あれは、私がドジだったからっ…」
「いや…加奈子さんは悪くないです…。私、責任感じちゃって…。
それに、あの人、すごく心ないことを言うから、むかついて、口出そうとしたんですけど…
要さんが言ってくれて良かったです…」
私がそういうと、加奈子さんは、照れくさそうに笑って、口元を両手で押さえた。
ほんのり紅く染まる頬。
緩んだ口元。
そして、瞳が輝く…
「加奈子さん…
要さんの事…」
「ぎぇっ!? ななななにっ!? そんなおこがましいことは別に思ってないしっ…なんていうかそのっ…」
少し言いかけただけなのに、変な声出して慌てる加奈子さんがおかしく私は笑った。
本当に楽しい人…
「おこがましくなんか、ないと思います…」
「っ…そんなっ…やめてっ…」
彼女なら…きっと…要さんも…
ついお節介な気持ちが生まれてしまう。
少し複雑な気持ちが最初はあったけど、不思議と、もうそんな気持ちはなくなっていた。