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「あっ、香純！」


突然顔を上げて、手を振った加奈子さん。


私は反射的に振り返ると、またあのきれいな人が歩いて来た。



かすみ…


やっと明らかになった名前。



そして、彼女は再び私のことを見付けると、プイッと顔を反らし、加奈子さんのことも無視してその場から去って行ってしまった。




っ…感じ悪いっ…



「…？どうしたんだろ…私の事見えなかったのかな…」



「あの…あの方…香純さんとおっしゃるんですか…？」


「えっ…あっ…うん…知ってるの？」


「いや、お話したことはないと思うんですけど、何故かいつも睨まれているような気がしてっ…」



それにさっき光瑠さんに執拗にくっついてたのも、気になる…




「え？」



そういいながら、う〜ん…と首を捻った加奈子さんは、私の事を見てにっこりとした。


「気のせいじゃないかな？だって、真希ちゃんいい子だし…あの社長の婚や…あっ！」



突然叫んだ加奈子さんは、口に手を当てて、固まった。


…？

どうしたんだろう…



「あのっ…」


「そうかっ…だからかっ…」



……よく分からないな…