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近くて甘い

第23章 薄情な作戦

しばらくした頃、コンコンとノックの音がして返事を返した。


加奈子さんかな?



「こんにちは…すみません…遅れてしまって…」



「要さんっ…あっいえいえ…」



加奈子さんの手伝いをしようと立ち上がっていた私は、要さんが先に来た事にビックリしながら、再び椅子に腰を下ろした。




「では、はじめましょうか…」


「……はい…」



どうしよう…話をしたいけれど、加奈子さんがすぐに戻ってくると思うと、まだやめた方がいいかな…



微笑んだ私は、教科書を開いた、ちょうどそのとき…



RRRRRRRRRR……



「ん?すみません…ちょっと失礼します…」


「もちろん、どうぞ…」



胸ポケットから、要さんが、スマホを取り出して、着信を見る。



あっ…



覗き見るつもりはなかったけれど、画面には“沙紀”と、表示されていたのを私は見てしまった…。




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