近くて甘い
第23章 薄情な作戦
「全く…昼間に掛けるなと言っただろうが…」
呆れた様子でそう言った要さんの横顔をジッと見つめる。
何だか、ドキドキして、堪らなかった。
沙紀ってやっぱり、SAKI…だよね…
「そんな事で連絡するな…。家のものは別に使っていいと言っただろ?」
家のものっ!?
って事は、SAKIは今要さんのお家に…?
それはつまり…
「分かってる、8時だな。じゃあ切るぞ…」
はぁっと溜め息をついた要さんは、電話を切った。
「すみません…では、始めましょうか…」
「っ…はい…」
平静を装って、教科書を見るけど、頭は今の電話の事でいっぱいだった。
─────────私の予想ではSAKIが副社長の彼女だよっ…
そんなことって…
「真希さん?大丈夫ですか?」
顔を覗き込んで来た要さんの事を私は、唇を噛んで見つめた。
「要さん…ちょっと話が…」