近くて甘い
第24章 横顔が好きだから…
落ちて行く涙。
それが、加奈子の制服を濡らしてシミを作る。
「どうして君が泣くんだ…」
「っ…だって…それじゃああまりにも副社長がっ…」
「なに…?かわいそう…とか?」
話を終えた要はふぅと息を付いた。
久しぶりに過去を振り返ったからか、この庭が懐かしくて、要は立ち上がった。
ここで、真希さんとたくさん話をした…
真っ暗な世界で、彼女の声だけが響いていた──…
「副社長にとって、真希ちゃんは…」
「…特別だ……」
ベンチから立ち上がった要は、振り返って、切なげに加奈子の事を見つめた。
「気持ちに答えられなくて、本当に申し訳ない…」
「っ……」
「でも、君ならきっといつか…」
「私っ…」
要の言葉を遮った加奈子は、力強い目で目の前の彼を見つめた。
話を聞いて、どんなに彼にとって真希が大切なのかは分かった…
でも…
「副社長の横顔に…すごく惹かれたんですっ…」
「横顔…?」
「はい…」
凛々しくて、とても男らしい…
「だからっ…」
その目線の先に…真希ちゃんがいたとしても…