近くて甘い
第27章 キスの責任
慌てた酒田は、タブレットを盾にするように、光瑠に見せつけた。
「違いますっ!さっき社長が行くと言った後に返事をしましたっ!」
「あぁ!?」
バシッとタブレットをふんだくった光瑠は、その送信履歴を見て、わなわなと震え出した。
こいつっ…
勝手にっ…
「────この俺を出し抜くような真似をしやがって…」
低く…地を這うような声が、響き渡る…
どうして僕はこんな役回りなのかっ…
涙が出そうになったところで、ガチャリと扉が開いて、書類を持った要が入って来た。
「関根さんっ…」
救われたっ……
「なんだ気持ち悪いっ…腕を掴むな!」
「助けて下さいっ…!」
は?
首を傾げた要は光瑠の方を向いて、溜め息をついた。
かなり怒らせたようだな…
「また、酒田をいじめてるんですか?」
「人聞きの悪い事をいうなっ…」
再び席に着いた光瑠は、乱暴にコーヒーを飲みながら、要を見た。