近くて甘い
第27章 キスの責任
目の前が真っ白になった。
苦しそうな要の姿に、また光瑠の心拍数が上がる。
「僕は───」
バンっ!!!
大きな音を立てて、光瑠は要の胸ぐらを掴んで壁に追いやった。
「───どういうつもりだっ…」
「………」
「抱いたのか…」
「っ…」
「おいっ!!!!質問に応えろっ!!!」
凄んだ光瑠は、怒りをむき出しにしながら、さらに強く要を壁に追いやった。
「……抱いて…ませんよ…」
「っ……」
少し緩んだ光瑠の力に、要は息をついた。
「……ただ…抱こうとしました…」
「────」
「今流れている噂も…本当です」
目を見開いた光瑠は、何も言わずに、要から手を離した。
パリから帰ってきた時のあの真希と要のキスシーンがまたフラッシュバックする。
苛立ちなのか、悲しみなのか…
訳が分からないまま、光瑠は黙った。
「…真希さんは悪くないですっ…全て僕のせいです…」
「……………」
「……真希さんは…あなたのことを────」
振りかざした拳が、要の頬に当たった。