近くて甘い
第27章 キスの責任
「っ……」
少しよろけた要は、口元を拭ったあと、ものすごい形相の光瑠の方を見つめた。
「……ふざけたことを言うな」
「………………」
「俺がいないところで、あいつを奪うつまりだったのか、“また”…」
じわりと広がる血の味。
要は真っ直ぐ光瑠を見つめて近付いた。
「奪ってなんかいないです」
“また”も何も…
常に彼女は社長のことを想っていた。
それに…
「あなたは…僕から“一生”真希さんを奪ったじゃないですか…」
「…………っ…」
「先に真希さんに出会ったのは僕です…
なのに…」
それだけ言った要は、ジャケットを正してそのままドアの方へ向かった。
「………僕はずっと想い続けていたのに…卑怯な手であなたが真希さんを奪ってしまった…」
「関根…っ」
何も言うことが出来ずに、光瑠は要の名前を呼んだ。
「………でも今はもう関係ないことですかね…」
考えないようにしていた“もしも”が要の頭の中で駆け巡る…
「…………申し訳ありませんでした」
もう一度きちんと頭を下げた要はそのまま颯爽と社長室を出て行ってしまった。
少しよろけた要は、口元を拭ったあと、ものすごい形相の光瑠の方を見つめた。
「……ふざけたことを言うな」
「………………」
「俺がいないところで、あいつを奪うつまりだったのか、“また”…」
じわりと広がる血の味。
要は真っ直ぐ光瑠を見つめて近付いた。
「奪ってなんかいないです」
“また”も何も…
常に彼女は社長のことを想っていた。
それに…
「あなたは…僕から“一生”真希さんを奪ったじゃないですか…」
「…………っ…」
「先に真希さんに出会ったのは僕です…
なのに…」
それだけ言った要は、ジャケットを正してそのままドアの方へ向かった。
「………僕はずっと想い続けていたのに…卑怯な手であなたが真希さんを奪ってしまった…」
「関根…っ」
何も言うことが出来ずに、光瑠は要の名前を呼んだ。
「………でも今はもう関係ないことですかね…」
考えないようにしていた“もしも”が要の頭の中で駆け巡る…
「…………申し訳ありませんでした」
もう一度きちんと頭を下げた要はそのまま颯爽と社長室を出て行ってしまった。