近くて甘い
第29章 Little sisters!
ハッとした沙紀と沙羅は、要の両腕を掴んだまま部屋に入って行く。
「これはっ…」
散らかり放題の部屋の中。
どう過ごせばこうなるのか、理解に苦しむ…
「ちゃんと片付けるから…」
「許して…?」
二人にうるうるとした瞳で見つめられて、要は再び深い溜め息をついていた。
「こんなんじゃ、二人とも結婚出来ないぞ…」
ジャケットを脱いで、部屋の片付けをはじめた要は、疲れながらも、この時期に妹たちが帰国したことを少し良かったと思っていた。
あんな事があった日だ…
一人でいるより、世話の焼ける妹二人をしつけている方が、気が紛れていい…
「出来なかったら、要がもらってっ!」
「おっ…」
ギュッと背後から沙羅に抱き着かれて、要は前のめりに少しよろけた。
「ダメよっ!私と結婚してくれるって小さいとき約束したじゃん!」
「おいっ…」
今度は前から、沙紀が要に強く抱き着いた。
妹にサンドされた要は、いつもの感覚に、また苦笑いをしていた。
「いいから片付けろ…」
「「要が結婚してくれるって約束したら!」」
異口同音した沙紀と沙羅はより強く要に抱き着いた。