近くて甘い
第30章 初恋の人
少し元気が出たかも…
「ありがとうね」
「えっ!? いや、俺なんもしてねえよ!? 」
オーバーなリアクションの吉岡に、また笑いが零れる。
吉岡くんは訳が分からないと言ったような顔で私を見ながら、やっぱり少し照れくさそうにしてた。
「あんさ…
まぁ…悩み事があったら…その…この前のこっ婚約者に言うんだろうけどさ…」
「……いや…実は、その光瑠さんのことで悩んでて…」
言うつもりのなかったことを言ったら、どんどんと胸が苦しくなっていった。
罪深いことをしておきながら、こんなことを言うべきじゃないのかもしれないけれど、私は、本当に要さんも…もちろん光瑠さんの事も、傷付ける気はなかったのに…。
「……じゃあ、俺に言えよ」
「え?」
「藤木は…っ
そのっ…大切なとっ友だちだから、ちゃんと答えてやるよ!」
少しだけ、偉そうに言った吉岡くんは、チラと私も見て、慌てて床を見た。
「あっ…でも…私情が…。
いっいやいや!私情ってあれだよ!? 別になんか、変な意味はっ…」
「ありがとう…」
「っ……」