近くて甘い
第31章 if...
「目が見えない男だと…それを知った後でも…君はまだ俺に会いたかったと言えるか…?」
綺麗な瞳…
見えていないだなんて…
信じられないほどだ。
「それは…どういう意味でしょうか…」
「………」
「見えていようと見えていまいと、あなたが私の恩人である事に代わりはありません…っ」
私の言葉を聞きながら、カナメさんは、小さく溜め息をついた。
「会って二回目でこんな事を言ったら、変な奴に思われるだろうけど…
俺は…」
真面目なその声に、ドキドキして、堪らない──…
「君にとっての“恩人”以上の存在になりたい」
「っ……」
「…盲目の男にそんなことを思われても迷惑だと君が思うなら───」
「もうっ…もう恩人以上の存在ですっ…」
私が叫ぶようにいうと、カナメさんは目を見開いた。