近くて甘い
第31章 if...
溢れた想いが堪えきれずに言葉になった。
「……先越されたな…」
「………ん……」
甘く重なった唇…
有川様とは違う、優しい、想いのこもったキス…
少しだけ唇を離した要さんは私のことをジッと見つめた。
「俺も…好きだ──…」
再び重なった唇。
吐息が雨音の中で洩れる。
さっきとは違う、情熱的なそのキスに私もしっかりと応えていた。
絡まる舌が、思いを助長させて、止まらない…
初めて人に、好きだと言った…
そして、初めて人に好きだと言われた…
それがこんなに幸せで、こんなに素敵なものだったなんて…