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近くて甘い

第31章 if...

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今まで生きてきた中で、こんなにも心を奪われたのは初めてだった。



遠目から見た、彼女の雨に濡れた姿が、


視力を失った今でも鮮明に思い出す事が出来る…



雨は冷たいはずなのに、
身体は熱くて、重なっている唇は、名残惜しくていつまでも離せないでいた。




もう見えなくてもいい


彼女がいれば───…




要はそんなことを思いながら、幸せを噛み締めていた。



真希の後頭部に優しく手を添えたまま、要はようやく唇を離した。




「風邪を引くから…俺の家に…」



「っ…でもっ…」



「……でも…?」




黙り込んでしまった真希。


表情が分からない…




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