近くて甘い
第31章 if...
「……関根に取り入ったかっ…」
「離して下さいっ…触らないでっ…」
ブンと全力で光瑠を振り切った真希は、要の方に急いでよって、そのジャケットを掴んだ。
「真希…?どうしたっ…」
大事そうに真希の事を抱える要の姿を見ながら、光瑠の胸がチクリと痛んだ。
関根の事を見つけて上手く口車に乗せたのだろう…
純情に気取ったようにみせて、実はあざとい女だったようだ…
だが、そんな事は光瑠にはどうでもいいことだ。
彼女が誰を愛していようと、
誰を愛しているふりをしていようと、関係ない。
ただ、俺は、悠月に似ているこの女を傍に置きたいだけだ──…
「社長っ…どういうことですか?真希と知り合いなんですか?」
「……関根…」
低い声が、書斎に響く。
光瑠は、落ち着いていた。