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近くて甘い

第31章 if...

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黒髪の小さな男の子を抱き締めながら、何故か有川様の事を思い出した。


もうあれから何年の月日が経ったのだろうか…



要さんが会社を去ってから、
すぐに有川商事は潰れてしまった。



整った顔立ちと、素晴らしい血筋、お金も何もかも全て持っていたと言っても過言じゃないのに…





「何を考えてる…?」



眠った子どもをベビーベッドに下ろしたら、突然要さんに後ろから声を掛けられて、私は、その伸ばされている手を掴んだ。




「有川様が…どうしているかなぁって…」



「………あぁ…」




少し寂しそうにした要さんは、遠くを見ながら、溜め息をついた。




「司(つかさ)は寝た…?」



「はい…」




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