近くて甘い
第32章 クッキーの教え
うわっ…私、憧れの人に何でばあちゃんのモノマネなんかしてんだろうっ…!!
最悪っ…!
「すっ、すみませんっ…
なんか思い出したら思わずっ…」
相変わらず笑ったままの要を見ながら、どうしていいか分からずに、加奈子は慌てふためく。
恥ずかしくてどうしていいか分からないっ…
今日は寝癖だったすごいし、こんな田舎者バリバリ出しちゃうしっ…
「はぁっ…腹が捩れるっ…」
やっと落ち着いて来た要は、笑い泣きの涙を拭いながら、息を吸った。
「突然でびっくりしたよ…」
「すみませんっ…ああっ!」
頭を下げた弾みで落ちそうになったクッキーを要はキャッチした。
「やっぱり、君は面白い…」
同じくクッキーをキャッチしようとした加奈子は、至近距離で要に囁かれて、ドキッと胸が鳴った。
「よっよっ良かったですっ!」
「ふっ…」
また笑われたことに、顔を紅くした加奈子。
今までにあそこまで、どぎつく要に物申した人物はいなかった…。