近くて甘い
第33章 想いの暴走
真っ暗な部屋に、自分の開けた扉からの光りが入り込む。
微かに聞こえてくる小さな寝息だけで、もう光瑠の胸は甘く締め付けられていた。
進んだ先にあるベッド。
この前まで一緒に眠っていたこのベッドがもう懐かしい…
「ん……」
「っ…真希……」
ベッドの横たわる小さな身体。
枕に広がる長い黒髪…
光瑠は唇を噛みながら、そっと真希に手を伸ばした。
微かに触れた艶めく髪の感触に胸が高鳴って止まらない…。
突き放したのは自分のはずなのに、堪らなく彼女を欲していて苦しい──
何か夢でも見ているのか、少しだけ、息を切らせる真希の寝息を聞きながら、光瑠は切なげに顔を歪ませた。
自分ではもはやコントロール出来ないこの想い…
触れたい…っ
強く抱き締めて、
どれくらい愛しているのかを伝えたい…っ