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近くて甘い

第34章 企てとすれ違い



「伝えなきゃっ…」



泣いている場合なんかじゃない。



光瑠さんがどういうつもりで婚約を解消しようと言ったのか、分からないけれど、きっと誤解しているから…



だから、もし、手遅れだったとしても、ちゃんと自分の気持ちは伝えたい──



そして…



「会社に行ってくるっ…」




その前にしなくちゃいけないこともある…




「一緒に行きますっ…」



「ありがとう…っ。でもっ…一人で…ちゃんと伝えてくるよ…」




心配そうな愛花ちゃんの手を強く握って、私は自分の部屋を出た。




このままじゃ大切なものを失ってしまうっ…



強引な光瑠さんの気持ちの裏には、いつも焦りと嫉妬があった。




いつも不安そうで…



それをちゃんと考えずに、誰も傷付けたくないなんて事を言って中途半端な事をしたせいでっ…。



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