近くて甘い
第34章 企てとすれ違い
ニッコリ笑った要さんは
私から、手を離した。
「これからもよろしくお願いします…。社長夫人…」
びっくりした私を見て、要さんはすぐに真剣な顔になった。
「この会社は、社長の機嫌によって大きく左右されます。
そして、社長の機嫌は、真希さんによって左右する──…」
「えっ…?」
「つまり、この会社の運命はあなたが握っているんです…」
「っ…!? そんなっ…」
「頼みますよ…
社員も給与も賞与も何もかもあなたの責任になります」
そんなこと言われてもっ…
慌てる私を見て、要さんは悪戯っぽく笑った。