テキストサイズ

近くて甘い

第34章 企てとすれ違い

要さんに導かれるまま、8階まで階段で行った。



エレベーターの前では、光瑠さんの事を聞いたのか、社員の人たちが群がって心配そうな顔をしていた。



「あっ…真希ちゃんっ…」



「っ……加奈子さん…っ」




まだちゃんと謝罪も出来てないまま、加奈子さんに遭遇して、私は、目を見開いた。





「私っ…」




あぁっ…



もう訳が分からない──…




混乱しすぎて頭が痛い…





「大丈夫だよ…ここで一緒に待とう…」



「っ……」




謝ろうと思ったら、加奈子さんはそんなこと気にも止めず私の事を抱き締めた。




「きっとすぐに電気もつくから…
そしたらちゃんと社長も無事で降りてくるよ」




「加奈子さんっ…」




私、あんなに加奈子さんの事を傷付けるような事をしたのにっ…



なのに、その事は一言も口にせず、私と光瑠さんのことを心配してくれるだなんて。





ストーリーメニュー

TOPTOPへ