近くて甘い
第34章 企てとすれ違い
妹のようだと思ったけれど、
加奈子さんはやっぱり私より年上だ。
優しく抱き締められて、パニックだったのが段々と落ち着いていく。
そうだ…
別にエレベーターは故障した訳じゃない。
何かの理由で停電しただけなのだから、電気が戻ればきっと無事に光瑠さんは降りてくる…
「真希さん、もうすぐ電気が戻るそうですよ!」
「…良かったっ…」
電話片手の要さんの言葉に、ホッと安心した。
きっと大丈夫。
きっと怪我もしてないし、
きっと…
きっと…。
そう願いながらも、脳裏に焼き付いた香純さんの鋭い視線が過る。
今はそんな事を気にしてる場合じゃない。
ただ無事でいればそれでいいから──
私は、加奈子さんに背中もさすってもらいながら、ただただエレベーターの扉を眺めていた。