近くて甘い
第34章 企てとすれ違い
───────────婚約を…解消しよう…
あれはっ…
本気だったのっ…??
もう私の事はどうでも良くなってしまったのっ…?
「香純っ…!」
私の隣で、加奈子さんが声を荒げた。
ようやく顔を上げた光瑠さんは、苦しそうに息を吐く。
「社長!何してるんですかっ!」
乗り込んで行った要さんは、ジャケットを脱いで香純さんにそれを羽織らせ、光瑠さんから身体を離させた。
こんなのっ…こんなの耐えられないっ…
「はぁっ…待てっ…」
苦しそうな光瑠さんは、離れた香純さんに手を伸ばした。
「っ…いくなっ…傍にいてくれ…っ」
見えている世界から、
色が無くなった。
「っ……」
もう見てられないっ…
ギュっと目を瞑ったら、パラパラと涙が流れた。
そして…
私は一目散に走って、その場から立ち去った。