近くて甘い
第37章 立つ悪女は後を濁す
何…?
一体…どうしたというの…?
「有り得ますよ…充分に…」
「…なんでそんなこと言い切れるんですかっ…」
「真希さん──…
僕とっ…僕と社長は…似ていますかっ…?」
えっ…?
質問の意味が分からずに私は涙を手の甲で拭いながら首を傾げた。
光瑠さんと要さん…
「背の高さは同じくらいかもしれないっ…
でもっ…髪の色も…顔も…声も…しゃべり方も…全く違うはずですっ…」
それは、当たり前のこと───
要さんのいう通り、二人は似ているとは言えない。
むしろ正反対…
見た目も中身も、似ているだなんて思ったこともなければ、間違えたことだって…
「なんでそんな当たり前のことを今言うんですかっ…?」
切なく目を細めた要さんは、深く息を吐いた。