近くて甘い
第38章 花の都は恋の街
ショーウィンドウの中のワンピースも
街で売っているかわいらしい花束も
輝かしい宝石も
様々な形をしたチョコレートも
見るもの全部が真希に繋がる。
これを買ってやったらどんな顔をするだろうか…
これは真希によく似合う…
これを食べたら確実に満面の笑みを浮かべるに違いない…
心に浮かんだことは、全て幻想となって去って行く…。
────────────婚約を…解消しようっ…
掴もうとしても、それは捉えることが出来ない…
「っ…………」
光瑠は自分の手のひらを見つめて目を閉じた。