近くて甘い
第38章 花の都は恋の街
『多分それは成功するよ…』
「っ…何を根拠にそんなことをっ…」
『いいから、俺を信じろ』
優雅にそう言ってのけた酒田は、訳が分からず黙った。
こんなにも根拠がないのに、“信じろ”と言われただけで、大丈夫な気がするのは、何故なのか…
『…で、社長は?』
「……ダメですね。何だかぼんやりしています」
風が吹いて、遠くにいる光瑠の髪が靡いた。
『ぼんやり…か…』
「なんていうか…絵みたいです」
苦悩の表情を浮かべたまま光瑠は川の流れを眺める。
冗談ではなく本当に絵のような光景。
以前も思ったが、社長は外国にいても全く浮く事はなく、とけ込んでしまう…
『なんだそれはっ…面白いなっ』
「……随分と呑気ですね」
『ああそうだ。社長に“今夜贈り物が届くと思います”と伝えてくれ…』
贈り物…?