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近くて甘い

第44章 White Prince and Black Prince



「貸してあげるよ?」


「でもっ…いつもメイクなんてしないから自分のやつじゃないと何がなんだかっ…」



泣きそうな声で、慌てる亜紀乃に愛花はゆっくりと近付いた。




「…愛花ちゃん…?」



「あの…私で良かったら…亜紀乃さんにメイク…して差し上げます…」




大きな瞳をさらに大きくした亜紀乃は椅子から立ち上がって愛花の手を掴んだ。




「本当にっ!?!? ありがとうっ!!」



「っ…上手く出来るか分かりませんけどっ…」




唯一の趣味とも言えるメイク…



不安だけれど…真希様にも教えてもらって、雑誌もたくさん読んだしっ…簡単なものなら…




「全然大丈夫だよっ!本当にありがとうっ!」



「っ…いえ…ではここに座って下さい…」



微かに頰を赤く染めた愛花は、始めての他人へのメイクにドキドキと胸を高鳴らせていた。


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