近くて甘い
第44章 White Prince and Black Prince
今にも頭から湯気が出そうになった浩平は、そのまま愛花の肩に顔を埋めた。
「………ちょー恥ずかしいな…これ…」
「っ……うっうんっ…」
「でもっ…本当に幸せだわぁ…っ」
「うんっ…」
「………『うん』しか言わねぇのな…」
「………うん…」
フッと笑った浩平が、顔を上げ、二人で微笑み合っていると、
キャーーーーーー!!!!!
と黄色い声が響き渡って、愛花と浩平はフェンスを掴んで下を見下ろした。
「なんだあのリムジン…」
公立高校の前にデカデカと乗り付けられた黒塗りの車に、愛花は、ハァッと息を飲んだ。
「ほんとに来ちゃった…っ」
焦る愛花の事を浩平はただただ首を傾げて見つめていた。