近くて甘い
第45章 おかえりなさいませ、ご主人様っ!?
いつも通り、横暴な態度で、偉そうにしてるんじゃないだろうか…
「では、お嬢様、こちらの席へ…」
そんな私の心配とは裏腹に、光瑠さんは、今まで無い優しい雰囲気を纏ってお客さんを接待していた。
うそ…
光瑠さんが…
本当に執事をしてるっ…
信じがたいその光景をぼんやりと眺めたまま、何だか理不尽なような気持ちがしてきた。
私は、男の子に接客したら怒るのに…
自分は女の子に接客するのはいいと思ってるんだ…
現実は、何倍も何十倍も、光瑠さんの方が人気があるのに…
「愛の力って偉大だわぁ…」
そんな中で梨子がぽつりと呟いて、私は首を傾げた。
「…いつもあんなにわがままで傲慢なのに…真希のためだと思うと、そのプライドも簡単に捨てちゃうんだもんね…」
「っ……」